逆流性食道炎

 

逆流性食道炎(胃食道逆流症)

逆流性食道炎は胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけ(みぞおちや前胸部の焼けるようなジリジリした感じ、ひりひりしみる感じなど)や呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じ)などの不快な自覚症状を起こします。また 胸が詰まるような痛み、のどの違和感や慢性的な咳が持続する患者さんもいます。

胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多いため、食後にこれらの症状を感じたときは逆流性食道炎の可能性を考える必要があります。

 

症状のある人は内視鏡検査を受けて 食道の炎症の程度を確認することが必要です。食道炎の程度はおもに改定ロサンゼルス分類(下図)で診断されます。内視鏡的に炎症を認めない場合は「逆流性食道炎」ではなく「非びらん性胃食道逆流症」という診断名になり、内視鏡で食道炎のある場合と ない場合をあわせて「胃食道逆流症」と言います。比較的まれですが、好酸球食道炎という疾患が症状の原因となっていることもあり 内視鏡観察のときには注意が必要です。

 

逆流性食道炎に対して 制酸剤などの内服治療を行いますが、内視鏡で食道炎を認めなくても症状に対して制酸剤が有効な場合があります。また、機能性ディスペプシア(機能性消化管障害)という疾患を合併することもあり、その治療が症状の改善につながることも多いようです。

 

日本ではヘリコバクーピロリ感染率が低下しており、除菌療法を受ける機会も増えて、胃酸過多の傾向になる人が増えるため 今後 逆流性食道炎の有病率は増加していくと予想されます。

胸やけ、呑酸などの症状は日常生活の質を低下させる大きな原因の一つです。適切な治療により症状が改善しますので お悩みの方はご相談ください。

 

 

改定ロサンゼルス分類(胃食道逆流賞の内視鏡分類)

ロサンゼルス分類

 

 

 

バレット食道

内視鏡検査で「バレット食道」と診断された方にご説明したいと思います。

 

逆流性食道炎がバレット食道の発生要因とされています。バレット食道とは食道下端の扁平上皮が胃粘膜と同様の円柱上皮(バレット粘膜)に置換される病態です。

 

欧米では食道腺癌(バレット食道癌)のリスクとされていますが、日本ではまだ この疾患の扱い方および将来的なリスクの程度など 未確定な部分が多い状況です。 胃食道逆流症診療ガイドライン2015年改訂第2版では『バレット食道から発生した腺癌の報告はあるがその頻度は極めて低く、現時点でバレット食道全例に内視鏡による経過観察が必要かは不明である』とされています。

 

しかし、長さ3cm以上のバレット食道(LSBE)の場合は 癌化のリスクが高いとされる本邦の報告もあり、年1~2回程度 内視鏡で経過観察をすることが望ましいと考えられます。

狭い範囲のバレット食道(SSBE)は 有病率が10.3~43.0%と報告にばらつきがあるものの、内視鏡検査では多くの人が狭い範囲のバレット食道と診断されます。狭い範囲のバレット食道の場合には 食道癌のリスクがほとんど増さないので、現時点では過度に心配する必要はないと思います。